初めの一年、4学期は毎朝8時から10時まで政治大学の中国語センターに通った。政治大学中国語センターは、一クラス10名以下の少人数制で、立地の悪さを除けば(政治大の山の上キャンパスにある)結構おすすめである。学生は日本人、韓国人が多いが、欧米の学生も思ったより多かった。私はスイス人やフランス人の友達と仲良くなれて、とても楽しかった。
語学センターは大学の中にあるものの、運営は独立しており、4学期制である。学費は学期によって多少差があるが1学期2万元弱。成績優秀者には次学期に奨学金をもらえるチャンスもある(他奨学金と重複してもらうことはできない)。学期によって開講されないクラスもあるが、クラス分けも1~4レベル(各レベルがさらに3段階に分かれているよう)まで細かい。私の1年間は以下のような感じで、レベル2の途中から3の途中まで受けた。
第1学期:『実用視聴華語2(下)』
第2学期:『実用視聴華語2(下)』
第3学期:『実用視聴華語3』
※『実用視聴華語』シリーズは師範大学の教科書で、台湾では最も広く使われているテキストのようである
第4学期:『迷●広播劇』 ※●=にんべん+尓
※ラジオドラマの脚本集
どのクラスでも宿題はほぼ毎日あり、毎週一回の小テスト(単語など)とまとめテストがある。
湾では「普通話(国語)」と台湾語(●南語 ※●=門+虫)が使われているが、中国語センターで学ぶのはもちろん「普通話(国語)」つまりは北京語である。それでも中国で学ぶのとは幾つかの違いがあると考えられる。第一に、台湾で中国語を学ぶ場合は、簡体字ではなく繁体字を使う。第二に、台湾で通常使用される発音記号は注音であり、中国の併音とは異なる。しかし、『実用視聴華語』には注音と併音が併記されているし、殆どの留学生が併音で中国語学習を始めているという事情にあわせ、授業では併音が使われていた。第三は、発音と語彙である。台湾の北京語には「台湾訛り」があり、舌を巻いたり、口の奥から音を出すことにあまり厳しくない。
また、中国との交流が途絶えていた時期が長かったために、普段の会話でも使っている語彙や言い回しが微妙に違うことがある。私も留学を始める前は、これらの違いについて不安ではあった。しかし、中国語センターでは、意識的に中国との「違い」を教え、どちらにも対応できるように教育しようとしているという印象を受けた。それに、これら「違い」は中国語学習全体から考えればあまり大きな違いではなく、後からいくらでも埋められるものであると、学んだ後に感じた。ただ、書き取りの試験で繁体字を使うのは大変…。